タクティクス(Tactics)
こんにちはchessinuです。
タクティクス(Tactics)は「戦術」や「戦略」を意味し、そしてチェスにはタクティクス問題という物があります。
このタクティクス問題とはチェスの能力を上達させるためにとても重要な物です。
この記事ではそのタクティクス問題ついて包括的に紹介していきます!
タクティクスレーティングについて
まずはレーティングについて簡単に解説します。
レーティングは一言で表すと「プレイヤーの能力を数値化」したものです。
つまり数値が高ければ高いほどより優秀なプレイヤーという証になります。
一般的にチェスのレーティングには実際の対局における「対局レーティング」と、タクティクス問題における「タクティクスレーティング」の2種類が存在します。
このタクティクスレーティングはその問題を解くサイトや団体によって計算方法が多少変わってくるのですが
世界で1番有名で規模の大きいチェスのオンラインサイトのchess.com(チェスドットコム)のレーティングを参考にランクの位置づけをしてみると大体この様な感じになると思います。
クラス | レーティング |
初級 | ~1200 |
中級 | 1200~2000 |
上級 | 2000~3000 |
超上級 | 3000~ |
ただこの数値は個人的な感覚に基づいている物なので、人によっては全然違う意見も有りあくまで参考としてだけ捉えておいてください。
自分は最高でタクティクスレーティングが2500近くあったので一応中級~上級クラスには位置しているかなぁと考えたりします。
ビギナーの方は取り敢えず最初の目標はレーティング1200を目指すのが良いと思います。
レーティング関する注意点
レーティングに関して少し注意点があります。それは
タクティクスレーティング≠チェス対局の強さ
ちなみに自分は対局レーティングの方がタクティクスレーティングより数百以上数値が下で、だいたい対局レーティングは1800~1900台をうろうろしていて2000を超えたことは一度もありません。
そして先程も述べましたが実戦においては対局レーティングというものがあります。あくまでもタクティクスレーティングはタクティクス問題を解く能力を数値化したものであり、実戦のチェス対局の強さとは全く別物だという風に捉えておいてください。
以上でレーティングの解説は終わりになります。
タクティクス問題の形式について
タクティクス問題の出題形式は、大きく分ければ基本的に以下の3つのパターンがほとんどです。
基本的にと言ったのは問題を解き続けタクティクスレーティングが上がってくるとイレギュラーな問題もごく稀に出て来る事があるからです。
しかし一般的にはほぼこの3つのパターンで出題形式は構成されており、イレギュラーな問題が出るような高レーティングの状況下ではこの記事を読んでいる皆さんの実力も相当ついている状態なのでその都度対応できると思います。
チェックメイトタイプ
これはシンプルに相手をチェックメイトするというタクティクス問題になります。
ただしこのタイプの問題はチェックメイトするために、様々なテーマが混ざりあった複合的な問題が出てくるので沢山解いて慣れていく必要があります。
不利な状況から引き分けに持ち込むタイプ
では次に自分が不利な状況から引き分けに持ち込むタイプについて見てみましょう。
何故意図的に引き分けに持ち込むかと言うと、チェスは他のボードゲームと違い勝敗がつかずに引き分けになる対局が沢山あります。
そしてチェスは一般的に白番(先手番)が有利で黒番(後手番)が不利なので黒番では意図的に引き分けを狙う事があります。
特に世界ランカー同士の対局になるとほとんどが引き分けで終わり、白番で勝ちを目指し黒番では意図的に引き分けを狙い総合的な勝利を目指すよう形になります。
なのでチェスにおいて引き分けを目指すというのはとても重要で大事な考え方です。
そういう理由でタクティクス問題においても意図的に引き分けを狙う問題が沢山あり、それを解くことによりチェスプレイヤーとしての思考能力が向上します。
そしてチェスでは引き分けには以下の様ないくつかのパターンが存在します。
()内の%数字は引き分けを狙うタイプのタクティクス問題として出てくる割合を個人的な感覚で表したものです。
※1.ステイルメイトに関しては自分がステイルメイトしないように敵をチェックメイトするパターンが出題されます。なのでカテゴリ的にはチェックメイトタイプの問題になります。少し分かりにくいと思いますが、実際のステイルメイトに関する問題を解いてみると理解できると思います。
※2. 50手ルールに関しては通常のタクティクス問題としてはほぼ見かけません。
ではそれぞれ簡単に説明します。
同形三複ルール
同じ形・局面が3回発生した時に適用されます。
主にパーペチュアル(perpetual=永遠・永久)チェックと言う「繰り返し同じ形でのチェック」が発生した時に適用されることがほとんどで、それ以外のケースはほとんどありません。
互いに駒が戦力不足
お互いに相手をチェックメイトすることができる戦力の駒が無い状態の事です。
その時の駒のパターンは以下の様になります。
ステイルメイト(stalemate)
チェックメイトはキングがチェックされている状態から逃げ場がないのに対して
ステイルメイトはキングがチェックされていない状態で動けない場合に適用されます。
少しわかりにくいですが要は下記の3つの条件が重なった時に適用されます。
- キングがチェックされていない(条件1)
- キングが動くと自死してしまう(条件2)
- キング以外の他の駒を動かすことができない(条件3)
この様に3つの条件が同時に起きた時にステイルメイトは適用されます。
それではこの例題を見てみましょう
今、白のポーンがプロモーションしようとしていますね。
では一体どの駒にプロモーションしたらいいのか考えてみてください。
<解答>
この局面ではルークにプロモーションするのが正解です。
ではなぜ最強の駒であるクイーンにプロモーションするのでは駄目なのかと言うと、これがまさに今まで解説してきたステイルメイトが適用され引き分けになってしまうからです。
ステイルメイトで引き分けになる理由は、チェックメイトできずにステイルメイトにしてしまったという結果が優先されるからです。
まぁざっくり言うと「君、仕留めきれなかったよね?」っていうニュアンスだと思います。
50手ルール
50手連続で互いにポーンが動かず、かつ互いに取った駒も無い場合に生じます。
タクティクス問題では出ることはまずありませんので、まぁそういうルールが有るとだけ覚えておいてください。
相手より有利な状況にするタイプ
相手より有利な状況にするには色々と有りますがほとんどが以下の様なパターンです。
※こちらの有利な状況にするタイプのタクティクス問題は均等な割合で出題されます。
それぞれ簡単に説明します。
プロモーション
プロモーションは同サイト内の別の記事にて詳しく解説していますのでこちらをご参照ください。
サクリファイス(sacrifice)
サクリファイスは日本語で「犠牲(にする)」という意味です。
チェスにおいてもまさにそのままの意味で使われており
ある犠牲を払うことによって、その後に犠牲以上の利益を得る
という事になります。
例えば下図の例では、最強の駒であるQueenを犠牲にしてその後にそれ以上の利益を得るという様な形です。(※スマホの方は横にスクロールしてください)
①→②→③→④→⑤→⑥の順番で見ていってください。
④の時にタダでクイーンを相手に取らせてサクリファイスしています。
その事によりその後にナイトでチェックメイトできました。
相手の駒をタダで取る
これはそのままですね。自分の駒を減らさずに相手の駒だけを取ることです。
つまり一方的にこちらが得をしている形になります。
自分の価値の低い駒で相手の価値の高い駒を取る
これもそのままですね。
要は先程のタダで取るのとは違いこちらも駒を減らしますが、自分の低い価値の駒で相手の高い駒を取るのでダメージは相手の方が当然高くなります。
具体例でいうとナイトやビショップでクイーンを取ったり、ポーンでナイトやビショップ等を取ったりすることです。
駒の価値は基本的に
クイーン>ルーク>ナイト≒ビショップ>ポーン
となります。ただし状況によってはこの順番は変わるのでご注意ください。
終わりに
ここまでお疲れ様でした。
それでは次の記事では実際の問題を一緒に解いていきましょう!
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