CPUグリスVS熱伝導シート
こんにちは自作PC初心者のchessinuです!
今回はCPUを冷却するために使用する「CPUグリス」と「熱伝導シート」では、どちらを使用したらいいのかを実際に両方を使って考えてみました。
そして独断と偏見に満ちた「個人的な結論」から先に言わせていただくと
まぁ圧倒的に「グリス」の方が良いと思います。
自分は以前、自作PCに初めて挑戦する時にこう考えていました。
「グリスって何か塗るの大変そうだし汚れそうだし手間が面倒くさいから、間に挟むだけの熱伝導シートの方がビギナーにとっては楽でいいでしょ!」
しかし両方使用してみた結果、今では全く逆の考えを持っています。
むしろ自分のような自作PC初心者にはグリスの方が扱いやすく、熱伝導シートの方が遥かに上級者向けの製品だったという…。
ということで、今回はそう思った理由を以下に簡単にまとめた記事を書きましたので、迷っている方はぜひ購入の際の参考にしてみてください!
ちなみにCPUグリスの塗り方について別の記事で紹介していますので、ぜひ合わせて参考にしてみてください!
比較に使った製品を紹介
CPU
Ryzen 7 3700X
CPUクーラー
Cooler Master MasterLiquid ML240L
PCの構成
全体的なPCの構成については別の記事で紹介しています。
CPUグリス
MX-4
CPUグリスとして使用したのはこちらの「MX-4」で、「シルバーグリス」や「Kryonaut(熊さんグリス)」などと並んで人気のある製品です。
性能はもちろんのこと他のCPUグリスと比べても「粘度」が低いため、AMDのCPUクーラーの取り外し時によくありがちな「すっぽん」をしにくいという利点があります。
まぁあくまで「すっぽんしにくい」というだけなので、CPUクーラーを取り外す際には事前に重めのエンコードなどをして、CPUを温めてからグリスを緩くして取り外すのが理想ではあります。(自分は毎回そうしています)
また「非導電性」ということで、マザーボードの電子回路に付着してもショートする恐れが無いのもお勧めポイントの一つです。
ということで自分の様な自作PC初心者でも取り扱いやすいため、もしCPUグリスでどれを購入したら良いのか迷っている方にはお勧めします。
- 低粘度
- 非導電性
- 大容量4g
- 初心者~上級者
- 熱伝導率 : 8.5W/m・K
Kryonaut
ちなみに今回は使用しませんでしたが、「Kryonaut」も普通に良いグリスですので愛用しています。
先ほど紹介した「MX-4」に比べると粘度が高いので、塗った際に若干の伸びにくさは感じます。なので塗る前に湯煎してる人もいたりします。
「熱伝導率」における性能ではこちらの方が若干高いようですが、まぁそこら辺はお好みでという感じで。
- 中粘度
- 非導電性
- 容量1g
- 中級者~上級者
- 熱伝導率 : 12.5W/m・K
熱伝導シート
熱伝導シートはこちらの「Innovation Cooling IC Graphite Thermal Pad 40×40 IGC40」を使用。
Amazon.co.jpではあまり人気やレビューはありませんが、Amazon.comの方では熱伝導シートの中では一番人気が有るようです。
なお「導電性」が有るので、マザーボードの電子回路に触れるとショートする恐れがあります。なので取り扱う際には気を付けて作業行ってください。
ちなみに熱伝導シートはほぼ全ての製品で導電性が有ります。
- 導電性有り
- 熱伝導率 : 35W/m・K
比較点
比較として大事なのは以下の様な点だと考えます。
- 熱伝導性能(冷却性能)
- 使いやすさ
- 耐久性
- 費用
- メンテナンス性
- スッポンのしにくさ
熱伝導(冷却)性能
Cinebench R20
Cinebench R20でベンチマークを同条件で計測して温度を比べてみる
- 定格時
- CPUグリスの方が約4~5℃冷えました。
- OC時
- CPUグリスの方が約7℃近くまで冷えました。
PCゲーム
ApexやFortniteなどの人気ゲームで同条件の負荷をかけて温度を計測する
- 定格時
- CPUグリスの方が約2~3℃冷えました
- OC時
- CPUグリスの方が約4~5℃冷えました
日常の作業
その後2~3日ずつ交互に取り付けてyoutubeを見たり記事や動画の編集など、日常的に誰もがやるような作業をしながら温度を監視・観察してみたところ、平均的には「CPUグリス」の方が冷えていました。
感想
しかしオーバクロック(OC)などをするなら間違いなくグリスの方が良いと思いますが、一般的な作業程度ならそこまで大きな冷却の差はでないのかなぁ…とも思います。
ただこれは各製品の品質や性能、またその時の「グリスの塗り方」や「熱伝導シートの取り付け方」や「PC構成環境」によってもだいぶ違ってくるので断言することはできませんが…。
そもそも熱伝導率やCPU温度などの冷却性能のテストに関しては、「長期間の使用」,「複数回の塗り直し」,「過度の負荷実験」など様々な要因が必要になってくるので、自分を含め一般的なユーザーが単発で行った実験数値などに果たして意味があるのかどうかは不明。
なのでまぁ数値は参考程度までに笑
ちなみに熱伝導(冷却)性能に関しては自分が見た限りでは、ほとんど他のサイトでも「CPUグリス」の方が上だと結論が出ていたと思います。
CPUグリス≧熱伝導シート
使いやすさ
一見するとグリスより熱伝導シートの方が塗る手間などを考えると楽そうに思えますが、実際に熱伝導シートを使ってみると全然そんな事は無かったです。
理由は単純に熱伝導シートはCPU(ヒートスプレッダ)とCPUクーラーの間に挟んで使用するのですが、取り付ける際にとにかくズレる。。。
CPUクーラーって製品によっては、ツメが凄くかかりにくかったり硬かったりして取り付けづらかったりするんですよね。
それで熱伝導シートって構造上、性能が良い製品はとにかく「薄くて軽い」のがほとんどなので、取り付けの際に生じる本当にちょっとした振動や風圧で動いたり吹き飛んだりしてストレスマッハ状態に…。
だからテープか何かでシートを一時的に動かないように固定しないと、うまく綺麗に挟み込む事ができませんでした。
例えば他にもグリスを糊(のり)の様にしてシートに塗り動かさないようにする、みたいな事も考えましたけど、「それなら別にグリスで良くね?」なんて思ったりもしちゃいますよね…
結局の所そういう手間を考えると、CPUグリスとの使いやすさに差を全く感じませんでした。と言うよりむしろ個人的にはグリスの方が断然使いやすいです。
そもそもグリスって「特別に塗るのが難しいとかいうわけでもない」ですし、それにグリスの塗り方に初めのうちから慣れておいた方が、後々のことを考えると絶対に良いと思います。
それとも単に自分の熱伝導シートの取り付け方が「下手」なだけなんでしょうか…?
という理由で使いやすさに関しても
CPUグリス>熱伝導シート
耐久性
CPU用の熱伝導シートのほとんどが薄く作ってあるので、とにかくマジで「破れやすい」です。
熱伝導シートを取り付けて2~3日程度使用した後に取り外してみると、いつできたのか分からない小さな穴が開いていました。そしてその穴が原因で端っこが千切れ落ちる…。
しかも熱伝導シート自体に「導電性」があるので、千切れたシートがマザーボードの電子回路に付着したら、最悪の場合ショートしてしまう可能性があるのもめちゃくちゃ怖いです。
というか下手をすると取り付けている作業中に穴が開きそうな感じもしました…(別に雑に扱っていたとかいうわけでも全くありませんし、むしろ丁寧に気を使いながら扱っていたとは思うんですけど涙)
なのでしばらくの期間使用した熱伝導シートを、他でまた再利用するというのも正直どうなのかなぁなんて思ったりも。。。
まぁノートPCのCPUとヒートシンクの間に挟んで使用するぐらいなら別に大丈夫かもしれませんが、自作系で使用する大きめのCPUクーラーなどの間に挟んで使用するには余りに心もとなさ過ぎます。
Amazonを始めその他のECサイトでのレビューなどを見ていると、やはり低評価の理由で一番多いのがこの「耐久性の低さ」ですね。
CPUグリス>熱伝導シート
費用
費用に関しては製品によってまちまちですが、グリスと熱伝導シートのそれぞれ人気のある製品3個ずつを2020年1月のAmazon価格で比べてみました。
(★モバイル閲覧の方は横にスクロールしてください。)
グリス | 価格 | 熱伝導シート | 価格 |
---|---|---|---|
MX-4 | 1,000円 | Vertical-GraphitePro | 2,400円 |
シルバーグリス | 1,300円 | Graphite Thermal Pad | 2,900円 |
Kryonaut | 750円 | Carbonaut | 2,600円 |
平均価格 | 1,016円 | 平均価格 | 2,633円 |
まぁ一般的に「熱伝導シートの方が平均価格は圧倒的に高い」ですね。
しかも熱伝導シートは破れるリスクが常に付きまといますし、基本的に1枚入りで1つのCPUでしか利用することがで出来ません。
しかしグリスならば1つ買えば最低でも3~4回は使えるので、コスパ面で考えてもやはりグリスの方が良いと思います。
ちなみに実際に余ったCPUグリスを、ノートパソコンのCPUグリスに使用してメンテナンス作業をした記事です。この様に他のPCにも使い回せるのが有り難いですよね。
仮にグリスと熱伝導シートの平均価格が反対であれば、熱伝導シートの方も決して悪くはないと思うんですけどね…。
まぁハッキリ言って現段階においては、「値段と性能」が全く釣り合っていないというのが正直な感想で、とにかくコスパが悪すぎる印象。
この価格ならせめて2枚ぐらいは入れて欲しい!
CPUグリス>熱伝導シート
メンテナンス性
CPUグリスを塗り直す頻度に関して、色々と他のサイトなどを参考にして調べてみました。
- 1~2年に一度派
- 塗り直す必要がない派
- CPU温度の異常上昇時派
- …etc
しかし特にこれと言って意見がまとまっているわけではありませんでした。
例えば製品紹介欄を見てみると「10年近くは塗り直す必要がない!」などと謳っている販売店などもありましたが、ただ個人的には数年以上使用して全く塗り直さないのは正直どうなのよ?って感じもしたり…というか流石にありえない。
ということで自分の場合はPCケース内の清掃作業と一緒に、CPUグリスを1年に1回の頻度で拭き取り&塗り直しています。
まぁPCに限らずバイクでも何でもそうですが、基本的には定期的にメンテナンスをしなければいけないのは当然なので、特に面倒くさいなどと思うことはありませんからね。
むしろ塗り直すことで、引き続き気持ちよく使うことが出来ます。
熱伝導シートは正直なところ、どれくらいの頻度でメンテナンスすれば良いのかタイミングが全く分かりません。というより、そもそも熱伝導シートってメンテナンスが必要なんだろうか…?
製品紹介欄には、「シートはパフォーマンスを損なうこと無く繰り返して使用できる」と書いてありますが、さぁ果たしてどうなんでしょうか。
ここに関してはイマイチよく分からないので何となく引き分けとします笑
CPUグリス≒熱伝導シート
グリスクリーナー
ちなみにCPUグリスに関してはこちらのグリスクリーナー製品を使うことで、とても綺麗に拭き取ることができましたのでオススメです。(Amazonでも人気があります)
またはIPA(イソプロピルアルコール)を購入してそれを使用してもいいと思いますが、純粋に「グリスクリーナー」として使用するのであれば、使い勝手などを考慮するとこちらの製品をお勧めします。
アイネックス グリスクリーナー
こちらはCPUに付着したグリスを落とすために使用します。キムワイプの様な拭き取り紙が付属しているので、すぐに使用することが出来ます。
KURE エレクトロニッククリーナー
こちらはCPUグリスを落とすだけでなく、基盤全般の掃除に使用することが出来ます。基盤に吹きかけても問題ないので、安心して使用できるのでお勧めです。
スッポンのしにくさ
熱伝導シートでスッポンをするということは間違いなく無いので、これに関してはシートの方が優れています。
これが熱伝導シートの「一番のメリット」だったりするんじゃないでしょうか。
ただしCPUグリスの製品紹介のときにも述べましたが、基本的に適切な手順で外せばほぼスッポンは起きないと思うので(実際に自分は起きたことがありません)、個人的にはそこまでメリットかな?って感じはします。
熱伝導シート>CPUグリス
結論
というわけで冒頭でも述べましたが個人的には圧倒的にCPUグリスをお勧めします。
正直なところスッポンしないという以外で、熱伝導シートのメリットを全く感じることができませんでした。
ただ他にもグリスだとCPUやCPUクーラーをショップやフリマなどで売る際に、グリスの「汚れ」が残ったりしたら嫌だなぁ…なんて心配もあると思います。
しかし先ほど紹介したグリスクリーナー製品を使用すれば、簡単に綺麗になるのでその辺りも特に問題はないと思います。
これから熱伝導シートがよほど「進化」や「改良」されない限りは、今後もCPUグリスしか使うことはないと断言します。
しかしこれはあくまでも完全に独断と偏見に満ち溢れた個人的な考え・意見なので、皆さんも試しに両方使ってみて自身でも比較してみると確実だと思います。
ちなみに自分はCPUグリス業者でも何でも無いですよ笑。ただ一般の自作ビギナーユーザーが使用した率直な感想です!
それでは皆さん良きPCライフを!
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